長島フォーラム21

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長島昭久の議

ザ・長島マニフェスト2003(Ver.1)経過報告
中間評価2004(第一回)

12月8日、衆議院議員となって一年目の長島昭久を、2人の学生インターンが直撃。テーマは「長島マニフェスト」。一年前に訴えた政策のうち、何が出来て何が出来なかったのか。この一年の反省点や今後の取り組みは?新たに追加すべき政策課題はあるのか。徹底討論しました。
→インタビュアーを務めてくれた、学生インターン吉田くんと高橋さん


総論:「長島マニフェスト」の基本姿勢について


吉田:マニフェストの中間評価に入る前に、どうしても伺いたいことは、なぜ外交を専門にしている長島さんが、「くらしの安全」と「子育て」を最初に持ってきたのですか?

長島:大きく2つあります。浪人中の3年間で地域を歩き社会の実情を見てくる中で、これらの問題がとくに重大だと肌で感じたからです。外交安全保障は、いわば自分なりのテーマです。これを語っただけでは有権者との関係は一方通行。地域の皆さまと双方向のコミュニケーションを図るため、いま最も深刻な2つの課題を選びました。もうひとつは、「大きな安全保障」と「小さな安全保障」と呼んでいる(価値の大小ではありません!)のですが、国際的な安全保障問題に取り組む前に、まず身近な安全保障を確立することが安保の専門家としての使命であると考えたからです。


「暮らしの安全」について
(1)街の「空っぽ交番」をゼロにしたい。
(2)被害者支援の予算を倍増したい。
(3)介護の現場を担う皆さんの報酬を倍増したい。 ・・・「長島マニフェスト」より



吉田:くらしの安全の問題では、現在、日本の犯罪検挙率は過去最低レベルであり、東京都も同じことが言えます。特に都内では窃盗犯が件数の4分の3を占めており、身近な犯罪の抑止というのが非常に重要となっていますが、これについてどう思いますか。

長島:まさにそこが「空き交番」の問題に眼をつけたポイントです。まず警察力の絶対数が足りなくなってきている。実際、選挙区を回る中で多くの空き交番を見かけ、市民の方々の不安の声を何度も聞きました。もはや交番制度は崩壊しているのでは、と感じました。地域によっては、自主パトロールや、交番相談員の補充などの対策がとられています。政府もようやくこの問題に本腰を入れ始めています。今年、国会は「空き交番」解消法を制定し、交番の統廃合(190ヵ所)とそれによる余剰警察官の創出、さらに交番勤務警察官を3800人増員、交番相談員制度化により3年以内に空き交番ゼロを目指しています。また、交通警察や事務的な部分を民間委託する法律が今国会に成立しました。なるべく警察官を現場に出すようにと。さらに、東京都では、まだ39か所しかないが「ハイテク交番」というテレビ電話を設置した交番を増設しています。これらの改善に向けた努力は、もちろん私自身の政策的成果ではありません。正直なところ、この問題を含め議員1年目における内政上の課題に対する取り組みは不十分なものでした。ただ、私自身、「空き交番」問題を突き詰めていく中で、街の治安や風紀の問題に直面しました。いま、ボランティアの皆さんとともに立川駅の南北口の環境改善パトロールを行っています。この11月に東京都が厳しい規制条例を制定し、立川市では監視カメラの設置を決めました。しかし、繰り返しになりますが、私はこの分野については2年目の課題です。1年目は、ネクスト防衛副長官や衆議院安保委員会理事など外交安保に大半のエネルギーを費やさざるを得ませんでした。

藤田:くらしの安全には3つのレベルがあると思います。1つ目は身近な日常生活の安全、例えば街や家庭や子どもの安全など。一番大きなレベルは国家の安全保障ですが、その中間に自然災害があるのではないでしょうが。国家が自然災害にどう対応するのか、という問題。3年間地元を歩いたことと同時に、今回、新潟へもボランティアに行き、地震の被害に見舞われた方々と接したことで、何か国会議員としてフィードバックしなくてはならないと感じたことはありませんか?

長島:浪人3年の経験がなければ、新潟へ行く発想すら出てなかったでしょうね。その間に社会と自分との距離が縮まり、その結果、新潟へも行きたいという衝動に駆られたのだと思います。現地で最もショックだったのは、ボランティア登録をしたときに、自分が何か貢献できる知識や技能が全くなかったことですね。現場では、介護士やカウンセラーの資格が大いに役立ちました。また、家が壊れて使えなくなった惨状を目の当たりにして、自然災害のもたらす惨禍は誰のせいでもないということを痛感しました。政治が復興に責任を持たねばと考え、帰ってきてから災害被災者生活再建支援法の改正案を民主党で提出しました。これは災害で家を失った人々に住宅再建資金の支援を行うものですが、役所は、平等権・財産権に関わるという杓子定規な議論を曲げず、廃案になってしまいました。非常に理不尽な結果だったので、もう一回通常国会でトライしたい。一方で風評被害もあります。越後湯沢などは被害を受けていないが、新潟は地震で全部だめということで、スキー客のキャンセルが相次いでいます。このような、行って来た者しかわからないようなことを、もっと伝えていきたい。


「子どもたちの生命と未来を守りたい!」
(1)保育園の待機児童をゼロにしたい
(2)小児科医を倍増したい。・・・ 「長島マニフェスト」より


吉田:子育て政策で長島さんは「待機児童ゼロ」を掲げています。2万6千人の子どもたちが保育所へ入れずにいるのが現状であり、どのような対策をとっていくつもりですか。また長島さんは、10月に「ぷりすくーる西五反田」という児童施設を視察していますが、これに代表される「幼保一元化」について説明していただけますか。

長島:幼保一元化は、現在の幼稚園と保育園が現状に合わなくなってきているという認識が出発点。役所の主管の違いや制度の違いから、就学前の児童の「育ち」を預かる非常に似た施設が二つある。しかも、少子化に伴い幼稚園は定員割れ、保育園は待機児童問題、とちぐはぐです。双方の抱える課題を補完するのが幼保一元化。親からしてみれば、兄弟が減る中で集団教育の場を求めている、出来れば幼保の差のない中で子どもを預けたいと願う。制度の非効率もあります。このあと幼児虐待に関して触れますが、家庭の育児能力の低下も深刻ですね。国も「総合施設」という呼び方で06年開始をメドに実験を始めています。その中で、がんばっている「ぷりすくーる西五反田」。しかし、幼稚園に相当する部分は現行制度の壁に阻まれ認可されていません。制度が追いつかない現状を変えていかなければならない。国や地域は、幼・保・総合施設、いろいろな選択肢を親に示すべきです。マニフェストにも書いてあるように、民主党の子ども政策調査会では、文科省と厚労省の縦割り行政の弊害を破るために、「子ども家庭省」の創設を目指しています。政権交代が実現したら一気に進めたい。
また、児童虐待についても同じようなことが言えます。今までは厚労省の管轄である児童福祉相談所が担当していたが、実際は幼稚園、学校、警察等の連携がきわめて重要です。2000年の12月に児童虐待防止法が成立しましたが、その後、報告件数は鰻登り。厚労省の調べでは、125件の死亡事故のうち7割は防げたという。一番の問題は児童福祉司の絶対数が国際的に見ても極端に少ない。日本では福祉司一人当たり7万2千人を扱わなくてはならない。年間230件を一人で受け持つ件数である。英国は20件、ニューヨーク市で12件、カナダのオンタリオ州で22件などなど。また専門性も低い。今年1月の岸和田事件の後、私は、党の子ども政策調査会のメンバーとして、児童虐待防止法の改正作業に携わりました。その中で、日本でももっと家庭裁判所を関与させようという議論をしました。例えば、欧米のように、被害児童の救済はもちろん、家裁が問題のある親にカウンセリングを行ったり、場合によっては親権を停止することまでやっていいと思います。また「生みの親」の親権を絶対視する必要はない。「生みの親より育ての親」といいますが、私が特に注目しているのが、里親制度です。10月には、ご著書もある八王子の坂本さん宅を訪問しましたが、里親制度がまだまだ社会で認知されていないことを実感しました。いずれにしても、社会全体で子どもたちを育てていくことを考えねばなりません。その意味で、来年は、里親さんや福祉司をはじめ子育てに関わる方々のネットワークを創っていくことを目的とした議員連盟をつくっていきたい。

吉田:介護の問題については?

長島:介護の問題は、残念ながらまだ手つかずです。介護保険制度は来年にかけて見直しされる予定なので、積極的に関わっていきたい。

吉田:被害者支援についてはいかがでしょう。

長島:被害者支援も2年目の課題ですね。この問題に早くから取り組んでいる都議の酒井大史さんや日野市議の菅原直志さんらと共にやっていくつもり。被害者支援基本法が今国会で成立しましたが、彼らに話を聞くとまだまだ不十分な点が多いと。介護の問題と併せて、現場に近い地方議員の皆さんと連携をとりながら地に足のついた制度改革に取り組んでいきたい。

吉田:子育て問題に関連して、小児科医の減少について触れられていますが。

長島:小児救急医療でぜひモデルにしたいのが、大阪の「豊能医療圏」。自治体の垣根を越えた小児医療サービスのネットワーク化で大成功を収めている。ちょうど、私の選挙区内の日野市立病院では、小児科医がゼロになってしまい市民に不安が広がっています。新しく始まった研修医制度に起因しているが、もはや単一の自治体ですべてをまかなうのは無理です。地元の開業医と近隣の大学病院や公立病院などが自治体を超え広域的に連携し相互補完していくシステムを構築していかなければなりません。これは、3年目にかかる課題かもしれませんが、子どもの命に関わる問題なので急がねばなりません。

吉田:先日の文部科学委員会において、「義務教育費国庫負担金制度」について質問されましたが、非常に身近な問題であるにも関わらず有権者の関心は低いように感じます。改めて説明して頂けますか?

長島:義務教育費国庫負担制度についての委員会質問で私が言いたかったことは、そもそも国庫負担している額は、義務教育費にかかる総経費の3割弱に過ぎないのだから、文部科学省は、これを手放したら義務教育の根幹が崩れるとか、義務教育に責任が持てないなどという大げさな議論をすべきでないということです。義務教育について国が責任を持たなければならないのであれば、かりに地方分権の流れが今後さらに加速化したとしても、義務教育の根幹については心配ないと言い切れなければ文部科学省の存在意義はないと思います。地方の自由度を高めていくというのは、時代の必然的な流れです。その中における国と地方のあるべき役割分担を論議しないで、森喜朗前首相をはじめとした文教族議員の尻を叩いている文科省の姿は哀れでしかないと思います。私たちは、こういった数あわせの大人の視点ではなく、教育現場の主人公である「子どもの視点」から教育を見直していかなければならないと痛感しています。


「日本の主体的な外交をリードしたい!」
(1)拉致問題を全面的に解決したい。
(2)「横田空域」を即時返還させたい。  ・・・「長島マニフェスト」より



高橋:外交を担当するにあたって、マニフェストにあった横田空域返還の問題、また北朝鮮拉致問題に関わることを伺いたいと思います。

長島:横田空域については、拙著でも書かせてもらったし、都知事の重点課題の一つですが、私は、今回の執筆作業を通じて横田空域の返還は可能だと改めて確信しました。なぜなら、横田基地は有事においては確かに必要ですが、平時においてはほとんど使われていません。今回の米軍再編において、横田は今以上に遊休化する方向にあり、平時に横田空域を米空軍がコントロールする必要はなくなります。まだ具体的なアクションを起こしていませんが、ぜひ東京都と協力して空域返還運動を盛り上げていきたい。
衆院拉致問題特別委員会は、外務省や衆議院の外務委員会、安全保障委員会で焦点を当てきれなかった反省にたって新設された委員会です。小泉外交が基本にする「対話と圧力」のうちの「圧力」の補完として民意を反映した特別委員会をつくる意味は大きい。理事にも指名されましたので、特に今日、横田めぐみさんの遺骨が偽物だったことが判明したが、北朝鮮の不誠実な外交姿勢に対する経済制裁発動に向けての国民への必要な情報の公開に努めていきたい。

高橋:横田の軍民共用化についてはどう考えますか?

長島:この1〜2年の話であれば、軍民共用化はあり得る選択肢だとは思います。一日せいぜい10便程度なら騒音被害もある程度我慢できる範囲との東京都の説明も理解できます。しかし、致命的なのは、その後の展望が全くないこと。一日10便程度のフライトのために誰が周辺のインフラにお金を出しますか?それなら民間空港としての意味はあるのか。成田や羽田のように年間30万回の離発着を考えているなら、話は別ですが、あの市街地に囲まれた内陸型の空港で30万回ものフライトが許されるわけがない。ドイツのフランクフルト空港のように軍民共用を経てドイツの民間飛行場というシナリオを横田の立地にそのまま当てはめるのは無理が在りすぎます。現時点では、将来性のかなり怪しい事業といわざるを得ません。

高橋:米軍が横田からいなくなったと仮定すると?

長島:全面返還してもらうしかないでしょう。その後の使い道は民間空港か否かしかない。今言ったように、民間空港で使い勝手が悪いのなら、そうでない別の用途を考える必要があります。私は地域の経営者の皆さまには何か違うアイデアを考えて下さい、と言っている。私自身は、自動車の何倍も裾野の広い航空機産業の集積基地なんかが良いのではないかと思っています。

高橋:長島さんが中心になってつくられた「創憲を考える一期生の会」については?

長島:派閥に発展するのではないかという憶測記事がありましたが、150%ないですね。もっともっと純粋な動機です、僕らは。これまで党内で行われてきた憲法に関する議論を一期生が学ぶ場、またそれを通じて各々の憲法観を醸成し党の憲法調査会にフィードバックするための知識の平準化を図る場を提供することを目的としています。

高橋:この1年間で多くの国を訪問しましたね。

長島:マニフェストでは「アジアの不戦共同体」という言い方をしていますが、その一環としてアジア外交に力を入れたいので、台湾は3回、韓国には2回訪れたし、今月の20日には、韓国与野党若手の選りすぐりが来日して、在韓米軍・在日米軍の再編問題と日韓FTAの二つの議題を中心に集中討議します。また、来年1月には、初めて中国を訪れる予定です。次の世代のリーダーたちと交流を深め、将来的にはアジア共同体を創るという政治家としての長期目標の第一歩としたい。岡田代表とアメリカにも行きましたが、それはアジアを考える上でアメリカは無視できないからです。大統領選挙の直前で、民主、共和両党の政策を決定づけるような現元政府高官や専門家らと意見交換をしてきました。

高橋:結局ブッシュ大統領が勝ちましたが、共和党の大会には参加しなかったし、米民主党より重きを置かなかったように感じましたが。

長島:民主党はどうしても野党としてアンチテーゼに走ってしまうので仕方ないところはありますが、現政権を軽んじたわけではまりません。今回の訪米には二つ意義があったと思います。一つは共和党の中でも国際協調派、穏健派の方々と会いました。彼らは、ネオコンのようなわけではないので、我々はそのようなバランスのとれた人たちを通じて米国政府との関係を築きたいと考えました。さらに、共和党政権は決して外交分野だけで再選したわけでなく、現在のアメリカ社会の特徴である保守化現象の結果でもある。これを米民主党が覆すのは非常に困難に思われますが、そういった草の根レベルでの保守化の傾向を肌で感じ取る意味も重要だったと思います。

吉田:先ほどの「アジア不戦共同体」について、具体的にどのようにしていくべきだと考えますか?

長島:制度化をしていくしかないと思います。半世紀前にドイツの学者カール・ドイッチェが提唱した「安全保障コミュニティー」を構築するのです。つまり、紛争を武力で解決しないような関係をどれだけつくれるか。アジアには理念や政策目標や価値観が異なる国が多く、ASEAN地域フォーラムを見てもわかるように、ヨーロッパと違っていきなり全体に網をかけてEUみたいなものをつくろうとしてもうまくいかない。私が考えているのは「ビルディング・ブロック」(ブロックを積み上げて行って多国間共同体をつくる)というやり方。つまり、まず日韓、そしてそれに協調できるような国々を徐々に増やしていき、最終的には中国やインドのような刺激的な国も参加させる、といった手法です。そこではやはり台湾や北朝鮮、極東ロシア、インドなどとの関係が重要で、今後はそういった国々を重点的にまわって自分の構想を形づくって、相手の賛同を得ていきたい。これは10年単位の大構想だし、一議員が出来るものではないが、今から始めなければならないと思っています。
そういう意味からも、自分の政策や構想が独りよがりになってはいけないので、月例のタウンミーティングの場はとても重要です。今私がお話ししたことは、ある意味私なりの考えであり、これを有権者の方々に示すことで、現実や民意とのズレを修正する、あるいは皆さんの意見を伺って自分の考えを改めて、次のステップにつなげていく必要があると思っています。このキャッチボール・システムを今後定着させたいと思っています。このマニフェストの中間評価もまさにその一環です。

高橋吉田:ありがとうございました。